相続放棄
相続放棄について
相続放棄について
相続放棄とは
相続放棄とは、「はじめから相続人でなかったとして、被相続人(亡くなった方)の遺産を一切うけとらないこと」です。プラスの財産もマイナスの財産も相続しないことになります。
遺産分割協議の結果、何も受け取らないことを「相続放棄する」という表現をされる方が多いですが、相続放棄とは家庭裁判所での手続きが必要です。
相続放棄のポイント
- 家庭裁判所での手続きが必要です
- 相続放棄には期限があります
- 一度受理されると取り消しはできません
- 相続放棄をする前に「相続財産」を受け取ってしまうと、「単純承認」とみなされ相続放棄ができなくなります。
家庭裁判所での手続きが必要です
亡くなった方の最後の住所地の管轄の家庭裁判所に申述を行います。
直接訪庁する方法のほか、郵送でも手続きが可能です。
新潟家庭裁判所本庁
- 新潟市
- 五泉市
- 燕市のうち旧吉田町
- 阿賀町
- 弥彦村
新潟家庭裁判所三条支部
- 三条市
- 燕市(旧吉田町を除く)
- 加茂市
- 田上町
新潟家庭裁判所新発田支部
- 新発田市
- 阿賀野市
- 胎内市
- 聖籠町
新潟家庭裁判所村上出張所
- 村上市
- 岩船郡 (関川村、粟島浦村)
新潟家庭裁判所長岡支部
- 長岡市
- 小千谷市
- 見附市
- 魚沼市
- 出雲崎町
新潟家庭裁判所柏崎出張所
- 柏崎市
- 刈羽村
新潟家庭裁判所南魚沼出張所
- 南魚沼市
- 湯沢町
新潟家庭裁判所高田支部
- 上越市
- 妙高市
- 十日町市のうち旧松代町・旧松之山町
新潟家庭裁判所十日町出張所
- 十日町市
(旧松代町・旧松之山町を除く) - 津南町
新潟家庭裁判所糸魚川出張所
- 糸魚川市
新潟家庭裁判所佐渡支部
- 佐渡市
相続放棄には期限があります
相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から3ヵ月以内に手続きをする必要があります。
「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、死亡の事実を知り、かつ自身が法定相続人となった事実を知った時です。
従って、『被相続人と相続人が疎遠で死亡の事実を知らなかった』、『先順位である被相続人の配偶者や子が相続放棄をしていたことを知らず、市役所から書類が届いて自身に相続順位が移っていることを知った』等、様々な理由で死亡から3ヵ月を経過していても相続放棄が受理されることがあります。
3ヵ月以内に手続きをしないと、単純承認(プラスの財産もマイナスの財産も相続すること)を認めることになります。
プラスとマイナスの遺産
遺産(相続財産)とは
プラスの遺産
土地・建物等の不動産、現金、有価証券、自動車
マイナスの遺産
借金、住宅ローンなどの負債
相続放棄を行う場合は、亡くなった方の相続財産には触らないでください
相続財産を受け取ってしまうと、その後相続放棄ができなくなってしまいます。相続放棄をするつもりの場合は、亡くなった方の遺産には手をつけないことが重要です。
例えば…
- 亡くなった方の病院代が未払いであったために預金を引き出して支払いをした
- 亡くなった方が契約していた保険を解約し、解約返戻金を受け取った。
- 亡くなった方が大家をしていたアパートの賃料の受領口座を変更した
このように、些細と思われる行為であっても単純承認事由とみなされ、その後相続放棄が出来なくなりますので注意が必要です。
しかし、相続放棄をしたとしても受け取ることができる財産があります。
相続放棄をしても受け取ることができる財産
① 受取人が指定されている生命保険金
受取人が指定された保険は、受取人固有の財産であるため、受け取ることができます。
※亡くなった方が受取人の場合や、受取人がいない保険の場合は受け取ることができません。
② 遺族年金や未支給年金
未支給年金や遺族年金は、国民年金法で「相続財産」ではなく、遺族の「固有財産」とされています。(最高裁判所第3小法廷判決平成7年11月7日)受取の手続きをしていただくことは問題ありませんが、被相続人の口座から年金分を引き出すことは避けた方がよいでしょう。
手続きから受理通知までのながれ
相続放棄手続きの流れ
不動産や大まかな預貯金の残高、債務等の調査が必要です。
必要に応じて債務の調査を信用情報機関へ開示請求することも手ですが、調査できる債務には限界があります。
郵送での戸籍の取り寄せは想像以上に手間と時間がかかり、あっという間に期限の3ヵ月が経過してしまいます。
本籍地が転々としている場合は、様々な市町村役場から郵送で取り寄せる必要があります。
家庭裁判所に赴き、書式をもらってくるか、家庭裁判所のHPより印刷をして相続放棄申述書に必要事項を記入します。期限を過ぎての申述の場合には、別途、上申書等を作成することもあります。
相続放棄申述書と併せて戸籍謄本等の必要書類を提出します。申立印紙と切手も併せて提出します。
相続放棄申述書を提出してから約2週間程で、相続放棄の照会書と回答書が届きます。
相続放棄申述書を提出した方が本人かどうかの確認も兼ねています。
回答書は、相続放棄申述書と内容を揃えて記載する必要があります。印鑑も同じものを押印してください。期限までに速やかに返送しないと、申述自体が取り下げの扱いになり、相続放棄の期限が切れてしまうこともあります。
私たちが行う業務について
業務内容
相続放棄の手続を行います。必要な書類の収集、相続放棄申述書の作成、家庭裁判所への提出、必要な場合には債権者の通知まで行います。
おすすめする方
- 故人に借金があることがわかっており、それがプラスの財産よりも多いため相続したくない…
- 相続争いに巻き込まれたくない…
- 故人とは疎遠で、借金があるかどうかも分からないが関わりたくない…
- 親族から「私たちは相続放棄をしたのであなたが相続人です」と突然告げられた…
費用
44,000円(税込)+実費
- 戸籍収集
- 相続放棄申述書の作成
55,000円(税込)+実費
- 戸籍収集
- 相続放棄申述書の作成
- 相続放棄受理証明書
- 債権者への通知
※相続放棄の難易度が高い場合(3ヵ月経過後で上申書等が必要なケース)の場合は追加料金がかかります。
※相続放棄を急ぎで行う必要がある場合は追加料金がかかります。
よくある質問
相続放棄Q&A
相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてしまったのですが、相続放棄することはできますか?
相続放棄の期限は、原則亡くなったことを知ったときから3ヵ月です。しかし、状況によっては放棄可能なケースがございます。まずはご相談ください。
相続放棄をした後に、プラスの財産がみつかりました。相続したいのですが、放棄を取り消すことはできますか?
相続放棄は撤回することができません。
認知症の人でも相続放棄することはできますか?
認知症の方は、相続放棄申述書にサインをすることができません。まずは成年後見人を選任する必要があります。
生前入院していた病院から入院費の請求書が届きました。相続放棄をした場合でも支払いをしなければならないのでしょうか?
入院費や治療費は亡くなった人の債務にあたるため、相続放棄をした場合は支払いの必要はありません。
道義的に支払いをしたいとお考えの場合は、亡くなった人の財産からではなく、ご自身の財産からお支払いください。
なお、入院費の連帯保証人になっていた場合は、相続とは別の問題になりますので、相続放棄をしたとしても支払いが必要になります。
相続放棄をしたら遺族年金を受け取ることはできないのでしょうか?
遺族年金はそもそも遺族固有の権利であり、亡くなった方の遺産とは関係ないため、相続放棄をした場合でも受け取ることができます。
相続放棄をしたいのですが、亡くなった父が暮らしていたアパートを解約しても大丈夫でしょうか?
「賃借権」の処分行為とみなされる可能性がありますので、避けた方が無難です。
亡くなった父は私を受取人にした300万円の生命保険を契約してくれていましたが、他に借金が500万円ほどあることが分かり相続放棄をする予定です。生命保険を受け取ることは出来ないのでしょうか?
生命保険は受取人固有の財産であり、相続財産とは異なります。
最高裁の判決でも「保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人たるべき者である抗告人らの固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである(最高裁第3小法廷昭和40年2月2日判決・民集第19巻第1号1頁)」とあり、相続放棄をしても生命保険の受取を行うことは差し支えありません。
父には借金があったので、娘である私と私の妹で相続放棄をしようと思います。父の子供は私と妹の二人のみです。相続放棄をしたことで親族に迷惑がかかりますか?
第一順位であるお子様は相続放棄をされた場合、相続権が次の相続順位の方に移ります。
お父様のご両親や祖父母(相談者様にとっての祖父母や曾祖父・曾祖母)様がご存命であればその方が相続人となります。
その方々が既にお亡くなりの場合は、お父様の兄弟姉妹や甥姪が相続人となります。
ご依頼者様を含め第一順位の相続人が相続放棄をすると、次の相続順位の方に債権者から連絡がいくことが予想されます。
次の相続順位の方に突然連絡がいくと、あらぬトラブルを招くことがあります。
「借金があるため相続放棄をする」場合は、次の相続順位の方に、相続放棄をしたことをお伝えいただくことをおすすめしています。
相続放棄をする予定で、必要な書類を集めている途中です。亡くなった人が借金をしていた金融機関から、「今月の利息だけでも良いので支払ってほしい。今月の利息は260円です。」などといった連絡が来ました。少額なので私が支払うこともできますが支払った方が良いのでしょうか?
相続人が自身の固有の財産で債務の弁済を行う場合に限り、「保存行為」にあたり、「処分」には該当しないため、相続放棄を認めたという判例があります。(福岡高決宮崎支部平成10年12月22日)
つまり、ご自身の財産からであればお支払いいただいても構いません。
しかし、相続放棄をする予定であるのに、わざわざ単純承認と誤認されやすい行為をする必要はないと考えます。
また、亡くなった人の預金から債務を返済することは、「処分」にあたるとした判例(昭和53年10月23日富山家裁審判)がありますので、十分注意してください。
お気軽にお問い合わせください
スタッフ一同
お待ちしております