住所変更登記の義務化がはじまります
不動産登記法が改正され、相続登記が義務化されたことはご存知の方が多いと思います。弊社にも、義務化を受けて多くの相続登記の依頼が寄せられるようになりました。
今後はそれに加えて、「住所、氏名が変更になったとき」にも、その変更登記が義務化されることになりました。土地や建物などの不動産の所有者は、氏名や法人名や住所に変更が生じた場合、その日から2年以内に変更の登記をすることが義務付けられ、申請を怠ると5万円以下の過料に処せられる場合があります。(不動産登記法第76条の5、第164条第2項。)
この改正は令和8年の4月1日に施行され、それ以前に変更があった場合も対象となります。その場合は令和10年3月31日までに変更登記が必要です。(民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)附則第5条第7項)
例えば引っ越しをした場合や、結婚をして名前が変わった場合などには、ご自身の持っている不動産上の住所や名前も、忘れずに変更の申請をしなければなりません。
なぜ、相続登記や住所氏名変更登記が、このように立て続けに義務化されることになったのでしょうか。
理由は、全国に増えつつある「空き家・空地」問題が見過ごせない状況になってきたことにあります。土地の所有者は登記簿謄本に記載されているはずですが、相続登記や住所変更登記がなされていないと、土地を活用したい人や迷惑をこうむっている人が所有者に接触しようとしても見つからず、もしくは相続人の数が膨大になっており、連絡を取ることに多大な労力と時間がかかってしまい、土地の有効活用や管理不全で荒れてしまう土地が増えることになります。今後高齢化が加速していくと、この問題はますます大きくなると考えられています。
2016年に国土交通省が調査した報告書によると、全国にあるこのような所有者不明土地(農地や山林を含む)の面積は、九州の面積と同じ程度あることが分かりました。
同じ調査で、「最後に登記をしてからの経過年数」ごとに所有者が不明である割合を調べたところ、登記があってから0~30年未満では17%程度である不明率が、50年たつと50%が、90年たつと89%が持ち主不明になってしまうという結果となり、登記から時間が経つほど、所有者と連絡が取れなくなるという実態が明らかになりました。
そこで、所有者と連絡を取る手段を将来に渡って失わないための対策として、住所変更のたびに変更登記が義務付けられたというわけです。
住所変更をするたびに登記が必要になるのは所有者にとっては大きな負担になります。しかし、この住所変更登記は、簡単な手続きをしておくことによって、その後は住所が変わるたびに法務局が職権で変更をしてくれるようになります。これが「スマート変更登記」です。
スマート変更登記とは、所有者の生年月日、メールアドレス、名前の読み仮名などを「検索用情報の申出」として申請しておく手続きです。令和7年4月21日以降、法務省の「かんたん登記申請」のページからweb上で登録を行うことができます。
法人所有の不動産や、海外に住んでいる方も、手続きが可能です。詳しくは、法務省の「住所等変更登記の義務化特設ページ」をご覧ください。
弊社でも、相続登記ご依頼の際には、お客様の今後の住所変更に備えてこの「検索用情報の申出」の手続きを同時に行うことになりました。始まったばかりの制度ですので、お困りのことがございましたら、ご相談ください。
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