相続登記が完了したら不動産業者からチラシが届いた・・・なぜ?

当事務所に相続登記をご依頼いただき、お手続きが完了したお客様から

「“あなたが相続した不動産を売却/活用しませんか?”といった内容のチラシが自宅に届いたのですが、どこからか情報が洩れているのですか?」といったお問い合わせをいただくことがございます。

司法書士には法律によって守秘義務が課されており、当事務所は業務上入手したお客様に関する情報や資料に関し、お手続き中はもちろん、お手続き終了後も第三者に漏洩することは一切ございません。

では、不動産業者はどのようにして相続された方の情報を入手しているのでしょうか?今回はその仕組みをご説明いたします。

不動産業者の営業手法の1つとして、法務局の「不動産登記受付帳」から相続登記により不動産を取得した人の情報を辿っていき、その人宛へチラシを送るというものがあり、そのような手法で営業をおこなっている不動産業者がございます。(※不動産業者の営業手法は様々なものがあり、すべての不動産業者がこの手法で営業を行っているわけではございません。)

 

以下、その仕組みについて例を用いてご説明いたします。

2024年11月14日に新潟太郎が亡くなり、所有していた「新潟市〇〇区△△町1丁目3番」の土地を、娘である新潟花子が相続することになり、相続登記(太郎から花子への名義変更)を法務局に申請しました。

法務局に登記を申請すると、法務局の「不動産受付帳」という帳簿に不動産登記申請の内容が記録されます。この受付帳は、「行政文書(行政機関が作成した文書で、法令や行政政策などの決定や事務・事業の実績を跡付けるもの)」にあたることから、開示請求をすれば誰でも閲覧可能です。法務局に確認をしたところ、この帳簿には、登記申請をした不動産の情報(新潟市○○区△△町1丁目3番の土地)や登記原因(相続・売買・贈与等)などが記載されているそうです。すなわち、この受付帳の開示請求をすれば、相続登記がなされた不動産の所在地がわかることになります。

ここまででは相続登記がなされた不動産の所在地がわかるだけで、相続により不動産を取得した人の名前や住所はわかりませんよね。

そこで受付帳に加えてあるものを取得することで、相続により不動産を取得した人の名前や住所を確認することができます。それが、「不動産登記簿謄本」です。

「不動産登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)」も、調べたい不動産の所在地がわかれば誰でも請求することができるものです。登記簿謄本を取得することで、今現在その不動産を所有している人の名前と住所を確認することができます。すなわち今回の例を用いると、受付帳から「新潟市○○区△△町1丁目3番の土地」の相続登記がなされたことがわかり、「新潟市○○区△△町1丁目3番の土地」の登記簿謄本を取得することで、上図の赤枠・不動産の取得者である新潟花子の名前と住所が確認できることとなります。このようにして不動産業者は新潟花子宛てにチラシを送ることができているのです。

つい先日も当事務所でお手続きいただき不動産をご取得されたお客様から、自宅に不動産業者からのチラシが届いたというお話を伺いました。このような仕組みでチラシが送られてきているという状況を把握いただいたうえで、適切にご対応いただければと思います。

当事務所では、相続手続きと併せて、ご相続された不動産の売却に関するご相談も承っておりますので、お困りのことがございましたらぜひ一度ご相談ください。

(イラスト引用元 https://souzoku-sozai.com/)