【司法書士が解説】数次相続でも安心!法定相続情報一覧図の作り方
■ 法定相続情報一覧図とは?
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)の法定相続人を図式化し、法務局で認証を受けることで相続手続きに使える「法定相続情報証明制度」の一部です。
一度作成すれば、金融機関や不動産登記、証券会社など、さまざまな相続手続きに利用できるため、手続きの効率化・簡素化が期待できます。
■ 法定相続情報一覧図は「被相続人死亡時点の相続人」で作成される
ここで重要なのは、法定相続情報一覧図は「被相続人が亡くなった時点での相続人」を記載するという点です。
たとえその後、相続人が亡くなっていても、その情報は一覧図には反映されません。
つまり、一覧図の対象はあくまで被相続人1人と、その死亡時における法定相続人に限られます。
■ 数次相続とは?
相続手続きの途中や開始前に、相続人の一部が亡くなっている場合、その亡くなった相続人の相続権はさらに次の相続人へと移ります。これを「数次相続(すうじそうぞく)」といいます。
例:
- Aさん(被相続人)が死亡
- Aさんの子であるBさんが相続人になるが、Bさんもその後に死亡
- Bさんの子であるCさんが、Aさんの相続権を引き継ぐ
このように、A → B → C というように、相続が連鎖して起きるのが「数次相続」です。
■ 数次相続の場合は一覧図が2通必要になる
数次相続では、以下のように2通の一覧図を作成する必要が出てくることがあります。
【ケース例】
- Aさん(被相続人)が死亡
- 相続人Bさん(Aの子)がAさんの死亡後に死亡
- Cさん(Bの子=Aの孫)が相続人になる
この場合:
- Aさんの相続手続きを進めるには、「Aさんを被相続人とする一覧図」が必要
→ この一覧図には、相続人Bさんを記載(たとえBさんが死亡していても) - Bさんが死亡しているため、CさんがBさんの相続人としてAさんの財産を引き継ぐ
→ Cさんが相続手続きに関与するには、「Bさんを被相続人とする一覧図」も必要
つまり、A→Bの相続と、B→Cの相続を、それぞれ1枚ずつ作成する必要が出てきます。
■ 作成の流れ(数次相続の場合)
- 被相続人の戸籍を収集(出生から死亡まで)
- 被相続人の相続人を確定(この時点で亡くなっている人も調査)
- 亡くなった相続人(数次相続人)の戸籍も収集し、次の相続人を確定
- 法定相続情報一覧図を作成(被相続人ごとに1通ずつ)
- 法務局へ申出、一覧図の写しを取得(無料・複数部可能)
■ 注意点
- 一覧図に記載できるのは、被相続人死亡当時に存命だった人のみ
- 亡くなった相続人については、その後の相続手続きのため、別途一覧図が必要
- 戸籍収集は、**被相続人・その相続人全員分(出生から死亡まで)**が必要になる
- 数次相続が2回以上あると、3通以上の一覧図が必要になることも
■ 司法書士に依頼するメリット
数次相続では、戸籍の量や関係が複雑になりやすく、相続人の漏れや誤記のリスクも高まります。
司法書士に依頼することで、以下のメリットがあります。
- 複雑な戸籍の読み取り・収集を代行
- 法定相続情報一覧図の正確な作成
- 法務局への申出も一括対応
- 不動産登記や銀行相続手続きもワンストップで可能
■ まとめ
数次相続がある場合、法定相続情報一覧図は被相続人ごとに1通ずつ作成が必要です。
被相続人死亡当時の相続人を正確に把握し、数次相続によって誰が手続きを引き継ぐのか、しっかり確認しましょう。
「相続人が既に亡くなっている」「何通作ればいいかわからない」
そんなときは、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な司法書士が、最適な手続きをご提案します。


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